優しい雨
静かな音をたてて降る雨。
縁側に腰掛けて空を見上げるが、黒い雲は遙か彼方まで広がっていて当分止みそうにない。
まだ昼時だというのに世界はとても薄暗い。
無意識に出るため息。
雨の日はどうしても思考が暗くなってしまう。
「何暗い顔してるんだよ」
降ってきた声に振り向けば、ヒノエがすぐ傍に立っていた。
気配に気づかなかった。
「珍しいね。あんたが気配に気づかないなんて」
驚きに目を見開くと、その様子が可笑しかったのか少し意地悪い笑みを浮かべ、隣に腰掛ける。
普段よりも子供っぽいしぐさに思わず口元が緩む。
「少し考え事をしてたものですから」
「ふーん」
いつものように笑顔で答えれば、たいした関心もないようでそのまま二人で空を見上げる。
流れる沈黙は気まずいものではなく、心を許しあっている二人にとってはむしろ安らぎの時間。
最近はこうやって二人でのんびりする時間さえ取れなかった。
瞳を閉じ、横に座るヒノエの肩にもたれれば、自然と肩にまわされたヒノエの手。
真っ暗になった世界の中で感じられるのは雨音が奏でる音楽とヒノエの体温だけ。
雨によって冷えた空気の中でその温もりはとても心地いい。
まるで世界に二人だけしかいないように思えてしまう。
「たまには雨もいいかもね」
不意に囁かれたその言葉に瞳を開き、見上げるとヒノエと目が合う。
そして、触れるだけの口付け。
「こうやってアンタと一緒にいられる」
そうだろ?、と幸せそうに微笑むヒノエ。
「そうですね。こんな時間もたまにはいいかもしれない」
その笑顔に心が温かくなるのを感じて自然と笑みがこぼれる。
ヒノエ以外には見せたことのない本当の笑みが。
優しく見つめる眼差しに応えるように、今度は自分から触れるだけの口付けを落とした。
(雨よ、どうかもう少しだけこのままでいさせてください)
END
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PCサイト10000HIT記念小説です。
久しぶりにヒノ弁書いたらなんか別人になっちゃいました^^;
何が書きたかったかというと、ヒノエに甘える弁慶さんが書きたかったわけですが…見事に撃沈です。
しかもかなり短くなっちゃいました。
とりあえず配布期間中はお持ち帰り自由です。
配布期間:2008.08.01〜08.31
2008.08.01