一瞬だけは±0




まだ授業中の並盛中。
パタパタと廊下を走る音に応接室で寝ていた雲雀は目を覚ます。
あの足音が誰のものかなんて考えなくてもわかる。
最近よくこの応接室に来る小さな女の子。
雲雀はソファからゆっくりと身体を起こすと小さな訪問者を待った。
数秒後、足音は応接室の前で止まり、コンコンと小さなノックが室内に響いた。

「入りなよ」

雲雀の返事に応じたようにゆっくりと開いたドアからイーピンが姿を見せた。
手には小さな袋を二つ、大事そうに持っている。

「ひばりさん、こんにちは!」
「やぁ、今日はどうしたんだい」
「これ、ひばりさん、あげる!」

イーピンはトコトコと雲雀のところにやってくるとにっこりと笑った。
そして雲雀に持っていた袋のうちの一つを手渡す。
雲雀はしゃがんで袋を受け取ると中身を確認した。

中に入っていたのは…

「…豆?」

雲雀の手に乗ったのは小さな豆。
いったいなんなのかとイーピンを見てみると、雲雀の反応に満足したのか自分の分の袋からも中身を出し、自分の手のひらに乗せた。
イーピンの手にも同じく豆が数個。

「なんなのこれ」
「今日、節分!マメ、食べる」

にっこりと笑いながらそう言うイーピンにそういえば今日は節分だったなと雲雀は今更ながらに気が付く。
そして節分には年齢の数だけ豆を食べるという伝統がある。
きっと誰かからこのことを聞いたんだろう。
イーピンの手には5個の豆、そして雲雀の手には15個の豆が乗っている。
期待に満ちた目で見てくるイーピンに雲雀はそっと頭を撫でると豆を一つ口に入れた。

「…美味しいよ」
「vvv」

どこにでも売っているような豆だったがキラキラとした目をするイーピンを思って雲雀がそう言うと、イーピンは嬉しそうに笑って自分も豆を手にとって口に運んだ。
美味しそうに豆を食べるイーピンに雲雀は思わず口元を緩めるていたが、ふと何かを思いついたように一瞬だけその笑みを深くした。
そして雲雀は自分の手から豆を5個とるとイーピンの手に乗せた。
不思議そうに首を傾げ自分を見てくるイーピンに、雲雀は微笑みかけ



「これで僕達は同じ年だよ」




そう言ってイーピンのおでこにキスをした。







(15−5=5+5)



この一瞬だけ
2人の歳の差は±0



END
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以前師匠へのキリリク候補で考えた節分ネタ。
意味わからないと思いますが、歳の数だけ豆を食べるって話があるじゃないですか。
それで、雲雀さんがイーピンに自分の分の豆を分けて二人で同じ数だけ食べたりしたらいいなぁとか思って…。
いちおう師匠のみお持ち帰り可とさせていただきます。
2008.02.03