30.空
ふと見上げた空は見事なまでに雲ひとつなくて、無性に涙が溢れそうになった。
けれど唇をキツく結んでそれを堪える。
そして部屋の片隅に立てかけているかつて母から貰ったブルームと手袋を手に家を出た。
こんな日はあたしは決まって空を駆ける。
行く先も決めず。
時間も気にせず。
ただ気が済むまでその身に風を感じて、雄大な空に包まれるように。
空一面に広がる色はもういないあいつの色。
今はもう逢えないあいつの色を見ていると切なくて苦しくて泣きたくなる。
だけど愛したあいつの色だから嫌いになんてなれなくて。
ただただ共に生きた過去の幸福に想いを馳せる。
もう顔も朧気にしか思い出せない。
名前を呼んでくれた声はどんな声だった?
しっかりと繋がれた手の温もりは?
時間の移ろいと共に薄れていった記憶。
それでもあいつへの想いは決して薄れることなくあたしの中に残ってる。
「チェスター・・・・・・・・・」
無意識に呟いたあいつの名前は頬を伝う涙とともに真っ青な空に溶けていった。
END
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TOPよりチェスアーです!
チェスアーはテイルズで一番最初に好きになったカプで、今でも大好きです。
2011.10.12