普段から何かと心配して連絡をしてくる沢田さんからの電話に何の疑問も持たず出たのは数分前。
彼にしては珍しく、すぐに用件を切り出した。
いつもよりも強張った低い声音。
今思えばそれはきっと声が震えるのを我慢していたから。
放たれたのは短い言葉。
だけどそれは衝撃を与えるには十分すぎた。
「雲雀さんが、死んだ」
一瞬で頭が真っ白になる。
誰が、何と?
頭が言葉を理解することを拒む。
「イーピン?聞いてる?」
「えっ、あ、はい」
「それで、今後のことだけど――」
受話器の向こうから聞こえる声に反射的に返事をする。
だが、私の心はもうここにはなかった。
脳裏に浮かぶのは、優しく自分を受け入れてくれた大切な人。
とても強くて、自分勝手の気まぐれやで。
でも、本当は優しくて、少しだけ不器用な人。
数ヶ月前、最後に会った時も、優しく抱きしめてくれた。
不敵に笑うその顔を今でもはっきりと思い出せる。
なのに――
ツーツー
いつ電話が切れたのかさえ覚えていない。
無機質な機械音を放つ携帯が、力なく垂れ下がった右手からゴトリと床へ滑り落ちる。
けれどそれにも気づかず、まるで糸の切れた操り人形のように、ずるずると床に座り込んだ。
視界が滲み、前が見えない。
頬を大量の涙が伝うけど、それを拭うことさえできず。
「ひ……ばり………さん………」
無意識に紡いだ大切な人の名は、部屋の中に溶けるように消えた。
――二度と逢えないとして――
(貴方のいないこの世界でどうやって生きていけばいいんですか)
END
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ずっと前から書きかけのままUPしようかどうか悩んだ話。
死ネタになってしまいましたが私はこういう話がよく浮かびます。
書けて本人は満足です。
それでは、読んで下さってありがとうございました。
2009.01.24