*ヒスリチ*
吐いた息が白く染まる。
見渡す限り白の世界は果てしなく続いているようで。
はらはらと舞い落ちる雪をその手に受け止めればひんやりと冷たい。
くちゅん
二千年ぶりに感じる寒いという感覚に、嬉しさを覚えつつ、
それでもノークインの寒さに体が小さく震えるのを止めることは出来ない。
「ほらっ」
少しだけ強引に肩にかけられたそれは
つい今までヒスイが着ていたもので。
「ヒスイ?これではあなたが風邪をひいてしまいますわ」
「俺は慣れてるからいいんだよっ」
そう言って早足でスタスタと先へと進んでしまった。
けれど、10mくらい進んだ先から大きなくしゃみが聞こえてきて
ばつの悪そうなヒスイと視線が合う。
慌てて背けられた顔が赤かったのは、きっと気のせいじゃなくて。
「ヒスイ、ありがとうございます」
聞こえていないとわかっていても
伝えずにはいられない。
不器用な彼の優しさに涙が出そうになるのを堪えて
かけられた上着をぎゅっと握る。
包むようにかけられた上着は、ほんのりと温かくて。
ヒスイの心の温かさのようだと思った。
END