もっと素直に



日の暮れた放課後。 オレンジに染まった教室の中に向かい合うようにぽつんと座る山本と花。 部活に励む生徒たちの声とシャーペンの音だけが教室内に響く。


花は、頭をかきながら机に向かう山本を机に肩肘をついたまま横目に見て、こんな暑いのによくやるなぁなどと考えていた。 目の前の山本は、出された課題に精一杯で花の視線には気づかない。 そんな山本にため息を吐きながら、少し曇りだした空に視線を戻した。


例によって教師から出された課題。 いつもならばツナと共に獄寺に教わるのだが、あいにく今日は獄寺が欠席。 ツナも京子と用事があるとかでさっさと二人で帰ってしまった。 花もさっさと帰ろうと思っていたのに、気がつけば山本の縋るような視線に捉まっていた。


「そこ、間違ってるわよ」
「へ?」


間違った部分を指摘すると、返ってくるとぼけた声。 慌てて書き直す様ははっきり言ってマヌケだ。 このままでは終わるまでに何時間かかるかわからない。 ただでさえ空が曇りはじめて、いつ雨が降り出すかわからない状態なのに。 朝のニュースでは今日は一日中快晴だって言ってたけれど、天気予報なんてしょせんは当たらない。 花は仕方ないなともう一度ため息を吐き、山本の方に向き直り、手を差し出す。


「ほら、貸して」
「ん?」
「プリント貸しなさいって言ってるの。教えてあげるから」
「ホントか!?」


ぱぁっと嬉しそうに笑う山本。 不意打ちのその笑顔に、花は顔に熱が集まるのを感じた。


「そ、そのかわり、今度何か奢ってもらうからね」
「おうっ!サンキューな、花」


赤くなった顔を見せないようそっぽ向き、照れ隠しに強がりを言えば、当たり前のように名前で呼ばれる。 そのせいで更に顔に熱が集まる。 花はそんな状態に恥ずかしくていてもたってもいられなくなり、ガタっと椅子を立つと足早に入り口のほうへ進んだ。


「ちょっ、花!?」
「飲み物買ってくる!」
「えっ、待っ」
ガンッ


花は勢いよくドアを閉め、取り残された山本はわけも分からず花が出て行ったドアを眺めるしかなかった。


廊下に出た花はそのまま少し進むと立ち止まり、へなへなとその場に座り込む。 その顔は真っ赤で、普段の花からは想像もつかない。 特徴的な長い黒髪をかきあげ、息を吐き出すと


「武の馬鹿……」


誰にも聞こえない小さな声で呟いた。





END

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PCサイト7777HITキリリクでブラザーより
『山花』ってことだったんですが、ごめん、甘くない(=А=;)
しかもかなり遅すぎて非常に申し訳ないorz
私のゼロに近い文才じゃこれが限界らしい…。
こんなので申し訳ないが良かったらもらってあげて!


2008.07.14