*ヒバピン*
「見てください雲雀さん!桜、綺麗ですよ」
次々と舞い踊る淡いピンクの桜の花弁の中を
楽しそうに進むイーピンの後をついていきながら
自身もひらりと舞うそれを一つ手に取る。
道の両端に植えられた桜が鮮やかに花開き、
世界を包むようにピンクに染めていく。
以前は見るだけで思い出したくないことを
思い出させたこの桜も今ではもうそれほど不快に感じない。
咲き誇る桜が春を告げ、そして散っていく。
そんなこの季節を何度も目の前にいる少女と過ごしたせいかもしれない。
イーピンといるだけで世界がまるで色づいたように感じる。
そんな風に感じる自分に苦笑しながら、桜の木を眺めるイーピンに近寄った。
そして、イーピンの手を取りそっと握り、同じように降り注ぐ桜を眺める。
たまにはこんな穏やかな時間も悪くない。
「ねぇ、ピン」
「なんですか?」
来年もこうして一緒に桜を見ようか
END