*ヒバピン*
「雲雀さんまだかな」
白い息を吐きながら、イーピンは目の前にそびえるクリスマスツリーを眺める。
煌びやかな装飾が施され、見る人の心を躍らせるこの木の周りではたくさんの恋人達が楽しそうの笑いあっている。
イーピンはそんな恋人たちの様子を羨ましく思って、そんな自分に苦笑した。
ちらりと見た腕時計。
雲雀との約束の時間までまだ10分以上ある。
それでも
「早く来てください……」
すっかり冷たくなった手を胸の前でぎゅっと握り締めて呟く。
もう一度クリスマスツリーを見ようと顔を上げた時ふわりと首元が温もりに包まれる。
振り返れば、漆黒の瞳とその手に握られている黒いマフラーが見えた。
「雲雀さん」
「やあ、イーピン」
イーピンが笑顔を向ければ雲雀も軽く手を上げて答える。
握り締めていた手をそっとほどかれ、包み込むように握られる。
「ずいぶん冷たいね。一体いつから待ってたの」
「んー、20分くらい前ですかね」
「なんでそんなに早く」
「雲雀さんに早く会いたかったんです」
「……本当に君は」
少し照れながら答えるイーピンに心から愛しさを感じて
雲雀は握り締めた手に力を込める。
イーピンは幸せそうに微笑んで、そのまま手を繋いで街の中を歩き出した。
END