*真夏の夜の夢*
雲雀は不意に目を覚まし、隣で寝ていたはずのイーピンが泣いているのを知る。
太陽さえ昇ってないような時刻。
遠くから聞こえる虫の声。
真っ暗な室内に響く彼女の嗚咽。
ゆっくりと身体を起こし、涙を流す少女をそっと抱きしめる。
何故泣いているのか、雲雀にはわからない。
恐ろしい夢でも見たのか。
それとも消えない過去に囚われているのか。
イーピンが落ち着くように、そっとその小さな背中をさすった。
しばらくしてから、イーピンは言った。
「……全部……夢なら…よかったのに……」
それが何をさしているのか雲雀にはわからなかったが、
それでも思ったことを口にする。
「…全てが夢だったら、こうやって君を抱きしめることができない」
イーピンはびくっと肩を震わせ、雲雀のシャツを強く握り締めた。
そして、弱弱しい声で言った。
「…そんなの……イヤ……です…」
「うん、僕も嫌だよ」
雲雀はその手に力を込めた。
END