与えられた居場所が、

永遠 だと信じていた



この世界に生を受けた瞬間から僕の前には兄さんがいて、常に僕の一歩前を歩いていた。
その背中を後ろから支え、時に兄さんに引っ張られて。
そうして二人で生きてきた。
だって僕たちは兄弟だから。
それは息をすることと同じくらい当たり前のこと。

大人になってからも領主になる兄さんをずっと後ろから支えていくのだと、そう幼心に信じていた。
それを疑問に思ったことも不満に思ったこともない。
むしろ少しでも力になれるようにと多くの本を読んで知識を蓄えた。

兄さんの後ろ。
ずっと変わらない、僕の居場所。

それは永遠のものだと、あの頃の僕は信じて疑わなかった。

今思うとそれがどれだけ幼稚で愚かな考えだったのかわかる。

幼かった僕の思い描いていた未来は些細な大人の事情であっけなく手のひらからこぼれ落ちて。
永遠なんてものはこの世に存在しないのだと、嫌でも理解させられた。

それなのに――

「ヒューバート、どうかしたのか?」
「・・・なんでもありませんよ」
「そっか」

くしゃりと頭を撫でる手の温もりも、真っ直ぐ見つめてくる自分と同じ空色の瞳の優しさも、あの頃と変わっていなくて。

再び得られたこの居場所が今度こそ永遠であればいい、そう願わずにはいられない。










END
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TOG WEBアンソロジー『 mele 』提出作品

2010.01.13