*沖千*
「美味しいですか?」
「うん、美味しいよ」
「よかったです」
両手を胸の前で合わせて嬉しそうに笑う千鶴ちゃんに見守られながら、
彼女から貰ったチョコを次々と口に運ぶ。
甘さを控えめにしたそのチョコは実際に美味しくて、どんどんと口の中で溶けていく。
少しだけ照れくさそうに、でも幸せそうに減ってゆくチョコと
僕を見ている千鶴ちゃんを見ると、ふと心に沸き上がった悪戯心。
「千鶴ちゃん」
「はい?」
「口開けて」
きょとんと見返してくる千鶴ちゃんの口元にチョコを近づければ、
その意味に気づいたのかみるみるその顔が真っ赤に染まる。
そしてその顔をぶんぶんと横に振って拒もうとする。
「それは沖田さんにあげた物ですし」
「遠慮しなくていいよ。ほら、僕が食べさせてあげる」
「む、無理ですっ」
「千鶴ちゃん?」
にこっりと笑って顔を近づければ、少しの間の後、
観念したように目をぎゅっと閉じて小さく口を開いてくれた。
恥ずかしさからか睫が震えているその様子さえも愛しくて、
彼女の口に美味しいチョコと甘いキスを贈った。
END