今では、簡単に会うこともできなくなってしまった相手で、
小さな頃からずっと、兄の様に慕ってきた相手。
沢田綱吉から、急に呼び出されたのは数十分前の話だ。
立派な装飾品の並ぶ部屋に案内され、ぽふ、と慣れないふかふかのソファに座った。
少しだけの緊張と、久しぶりに会えるのだという高揚感でそわそわしていると、自分を呼んだ張本人がまもなく顔を出した。
綱吉はイーピンの顔を見た途端、なさけない顔で手を合わせた。
「本当に、本当にごめん!申し訳ないんだけど・・・」
仮にもボンゴレ10代目ボスになったというのに、「自分の知っているツナ」と全く変わらない姿に少しほっとした気持ちを覚えながら、
「ど、どうしたんですか?」
と突然の謝罪の意味も分からずに聞いた。
命令
綱吉からの頼みは、「もう一度殺し屋をやってほしい」というものだった。
「い、嫌なら全然断っていいんだよ・・?」
始終、本当に申し訳なさそうに言う。
普通なら迷うべきなのだろうが、イーピンの心に答えは一つしかなかった。
今までお世話になってきたツナに恩返しが出来るなら、絶対にしたい、と思ったのだ。
「分かりました!やらせて下さい!」
***
その後、これから行う任務についての説明が行われた。
大分難しいように思えたけれど、それほどに頼られているのだ、と考えると嬉しかった。
「・・・・で、これが大体の流れ。分からないことは?」
「特にありません」
「良かった・・!俺、説明下手だからさー」
ほっと胸をなでおろしたように見えたけれど、直ぐに顔に真剣さが戻った。
「それで、さ。この仕事は、凄く危ない仕事なんだ。でも、イーピンなら出来るから!」
必死に不安な表情を誤魔化すように、頑張れ、と笑った。
「はい!まかせてくださいな!」
・・・とは言ったものの、内心不安で一杯だ。
けれどこの期待を裏切る訳にはいかないと、自分を奮い立たせて部屋を後にした。
家に帰ると、すぐさま準備を始めた。これから大変な仕事が待っているのだから。
「・・・よし、こんなもんかな!」
満足げに息を漏らす。
その時、だった。
普段であればめったに人が訪ねてなどこないため、聞き慣れていないインターホンの音が響いた。
「はーい?」
カチャリ、と扉を開ける。
「やあ。」
目の前に立っていたのは、雲雀さんだった。
誰よりも、愛しいひと。
「雲雀さ・・!ど、どうしたんですか!?」
「どうしたか、だって?」
分からないとでも?というような目を見つめられた。
私だって、予想位はつく。
「私が、殺し屋をまた始めたから・・・ですか?」
「良く分かってるじゃないか」
ふ、と微笑を浮かべる。
「難しい仕事らしいね?」
「はい」
「死ぬかもしれないんじゃない?」
「分かってます。」
「・・・それは、死んでもいい、って言ってるの?」
さっきまであまりにもそっけなく言葉を発していた雲雀さんの眼が、変わった。
冷たくて、恐怖すら覚えてしまいそうな。
けれど、かすれそうになる声を絞り出して言う。
「・・・・覚悟は出来てる、つもりです。」
「ふざけないでよね」
え、と出ようとした声は、雲雀さんの唇で塞がれた。
「君は、僕のモノだよ。だから、勝手に傷つくなんて許さない。」
そして、強く抱きしめられ。
耳をくすぐるような感触と共に呟かれた。
「だから絶対に、〔此処〕へ帰っておいで。これは、」
「命令、だよ。」
そう、それは命令だった。
あまりにも甘くて、強い、絶対的な命令という名の鎖。
「君に選択肢なんてないから。」
「はい、分かってます・・!」
そう、命令に背くなんて、できないでしょう?
だから
私は、絶対にこの温かい腕の中へ、戻ってくる。
貴方の体温を感じられる、とても幸せなこの場所へ。
それまで、どうか、〔此処〕を守って待っていて下さいね――――
(生きて、またお互いの体温を感じましょう)
END
夜霧さんのところから強奪してきました!!!
ウオォ〜バカップルがここにいる〜><
そんな命令なら私だって喜んで従うとも!!!
やっちゃん、素敵小説をありがと〜vvv
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2008.01.06