「雲雀さん。どうしてイーピンなんですか」
自分でも唐突だと思う発言に、向かいのソファに腰掛けている相手は一瞬だけ視線をこちらに向けると
そのまま何事もなかったように手にしたカップに入っている紅茶を飲んだ。
「それは一体どういう意味だい。沢田綱吉」
テーブルにゆったりとした動作でカップを置きながら問いかけてくる雲雀さんに、反射的に身体が強張る。
これは最早昔の経験からくる条件反射だ。
我ながら情けないと思うが、こればかりはしょうがない。
目を細め、口端を上げてこちらを見てくるその瞳には好奇の光が宿っていて。
しかし少しばかり不機嫌に見えるのはおそらく気のせいではないだろう。
「どうと言われても、そのままの意味です。確かにイーピンは凄く可愛いし、いい子だし。俺の自慢の妹です」
「君さ、シスコンもいい加減にしたら。そもそも彼女は君の妹じゃないし」
「いいんです、全部本当のことですから。それに誰が何と言おうとイーピンは俺の可愛い妹です」
たとえ血が繋がっていなくとも、幼い頃から沢田家で育ってきたイーピンは間違いなく妹で、大事な家族だ。
空いている左手をぐっと握り締めきっぱりと言い放つと、雲雀さんの口から呆れを含む息が吐き出される。
「もう好きにしなよ。それで?君は結局何が言いたいの」
「ですから、俺は雲雀さんがイーピンを選んだ理由を知りたいんです。
イーピンが昔から雲雀さんをずっと好きだったのは俺だって知ってます。
でも雲雀さんは?本当にイーピンのこと好きなんですか」
イーピンが幼い頃から雲雀さんに対して好意を持っていたことは仲間内で知らない人はいない。
というかあそこまでわかりやすい態度で気づくなという方が無理だ。
だが、雲雀さんはどうなのか。
雲雀さんも昔からイーピンには優しかった記憶はある。
だが、それはイーピンの発展途上の強さに対する興味だったとリボーンから以前聞いた。
今ももしもその延長の感情だというのなら――。
こちらを見据える雲雀さんの瞳がさらに細められる。
「それを君に言う必要があるのかい」
「ないかもしれません。でも、雲雀さんがただの好奇心とか遊びの気持ちでイーピンと一緒にいるとしたら、
俺は兄として黙ってるわけにはいきませんから」
漆黒の瞳から放たれる鋭い視線から決して瞳を逸らさずに凛とした声で告げる。
イーピンには幸せになって欲しいと思う。
できるならこんな血塗られた裏社会とは関係ない場所で平和に笑って生きて欲しかった。
だけど、イーピンが自らの意思で裏社会で生きることを選び取った以上、
自分にはそれを否という権利はなく、また、言うつもりもない。
でも、だからこそ確かめておきたかった。
イーピンがこの世界に戻るきっかけとなった理由が、確かなものであるのかどうか。
この先も、それが揺らぐことがないか。
無駄な期待だけを持たせるのはただ残酷なことだから。
俺の意図を汲み取ったのか、雲雀さんの鋭かった視線が僅かに緩められる。
そして言葉が紡がれた。
「僕が遊びで誰かと共にいるなんて、そんなことあると本気で思ってるのかい。
そんなくだらないことするくらいならその相手を咬み殺す方がよっぽど楽しいに決まってる」
「僕は群れるのが大嫌いだからね」、そう言い放ち再び紅茶に口付ける。
「でも、イーピンは雲雀さんより十歳も年下なんですよ?なのになんで…」
こういう言い方が雲雀さんの怒りに触れるかもしれないと思いながらも、ずっと不安に思っていたことを口にする。
だが予想に反して雲雀さんの瞳に怒りが映る気配はなく、むしろどこか楽しそうに口端を上げる。
そして
「歳なんて関係ないよ。僕はイーピンがイーピンだから共にいるだけだ。他のことなんてどうだっていい」
さも当然という風に言われたその言葉は紛れもなく本心からのものだと、そう信じれるほどにその瞳は真剣だった。
あの雲雀さんがここまで言うとは思ってなかった俺は思わず凝視してしまったが、
雲雀さんはさして気にした風もなく飲みかけの紅茶を飲み干すとカップをテーブルに置いた。
「沢田綱吉、話はこれで終わりかい」
「あっ、はい」
「そう」
雲雀さんはならばもう用はないと立ち上がり、さっさと部屋を出て行った。
その背を引き止めることも出来ず、彼が出て行った扉をしばらく見つめていたが、
「まいったな」
そう呟いてソファの背もたれにポスリと体重を預けるように寄りかかる。
「まさか雲雀さんがあんな風に言うなんて思ってもなかったんだけど」
聞いたのは自分だが、あんなに直球で返ってくるなんて。
普段の雲雀さんからは予想もしてなかった。
「……でも、これなら安心、かな」
雲雀さんが嘘をつくような人間ではないと知っている。
彼がそうだと言ったのなら、それは紛れもなく事実なのだろう。
だったらもう自分がイーピンに対してしてやれることは、二人が一緒にいることを祝福し、見守ってやることくらいしかない。
それがほんの少しだけ寂しく感じたが、雲雀さんと共にいる時に見せるイーピンの笑顔を思い出し、仕方がないと納得するしかなかった。
ただ願うのは
君の幸福
END
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携帯サイト30000HITキリリクでゆうこ様より『お互いに理解しているヒバピンを見て周りの人たちがびっくりする』でした。
ゆうこ様、遅くなった上にリクに全然沿ってなくて申し訳ないですm(_W_)m
イーピンは出てこないし、ツナしか関わってないし。
しかもツナはただのシスコンと成り果ててます。
雲雀さんも惚気てるだけ?な気もします。
返品・苦情はいつでも受け付けておりますので!
こちらはゆうこ様のみお持ち帰り可です。
2009.09.06