「よう、まん太」
「葉君。ここにいたんだ……ってええええええ!?ア、アンナさん……っ!!!」
いつも通り勝手知ったるといわんばかりに家に入ってきたまん太に、
葉は縁側にある柱にもたれたたまま顔だけ軽く振り返り、軽く片手を挙げて答える。
とことこと葉のそばに寄ってきたまん太は、目の前に広がった光景に思わず声を上げてしまった。
縁側に投げ出すように伸ばされた足の上に広がる、淡い栗色の髪。
普段バンダナで抑えているそれも、今は解かれ、陽の光に照らされ薄く輝いていて。
葉の足にその体を預け、長い睫毛に縁取られたその瞳を閉じ、アンナは小さな寝息をたてていた。
普段剥き出しの華奢な肩には葉が掛けたのであろうジャージがあった。
「あんま騒ぐなよ。起きちまうだろ」
「あっ、ごめんっ」
いつものようにゆるい笑顔のまま言う葉に、まん太は慌てて口を両手で塞ぎ、アンナを覗き込む。
起こしたら、後で何をされるかわかったものじゃない。
アンナは変わらず瞳を閉じたまま、規則正しい寝息をたてている。
その様子に安心したのか、まん太は大きく息を吐きその場にしゃがみこんだ。
「それにしても、珍しいよね」
「ん、なにがだ?」
「アンナさんがこんな風に寝てるのが、だよ」
アンナを起こさないように声を潜める。
そうか?と首を小さく傾げ、のんびりとした口調で答える葉に、まんたはそうだよ、と首を縦に振る。
まん太が知るアンナは、少なくとも他人の前で無防備な寝顔を晒すような人ではない。
人の気配に聡く、誰かが近づけばその眦を吊り上げるのに。
それが、今はどうだ。
まん太が近づいたのにも気づかず、身を丸めるような姿勢で葉に身を預けて、すやすやと寝入るその表情はとても柔らかで。
普段の気の強いアンナからは想像ができない。
ふと、まん太が視線だけを動かして葉を見れば、アンナの寝顔をじっと見つめている。
その眼差しはとても優しく、温かいもので。
これもまた、普段中々見れないもの。
まん太は見てはいけないものを見ているような気になった。
「じゃ、じゃあ、僕ご飯作ってくるよ」
「悪いな」
居た堪れなくなって台所に向かおうとすくっと立ち上がったまん太に、葉は軽く手を振り笑顔を見せる。
部屋を抜けて、廊下に出ようとしたところでいったん振り返り二人の様子を窺えば、
未だ幸せそうに寝入っているアンナの寝顔と、そっとアンナの髪を撫でている葉が目に入って。
「完全に、二人の世界だよね」
誰にともなく呟いて、足早に台所へと向かった。
君にだけ見せる
特別な表情
END
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携帯サイト19000HITキリリクでブラザーより『葉アン』でした!
葉アンなはずなのに、気がついたらまん太が出張ってた(笑)
嫁なんて、一言も話してないよ!
ブラザー、こんなのでよろしい?
返品・苦情はいつでも受け付けてるから!
こちらは佐保ゆき様のみお持ち帰り可です。
2009.01.16