首筋に埋めていた顔を上げれば、頬を朱に染めてその漆黒の瞳を潤ませたまま硬直しているイーピンと視線が絡む。 途端、我に返ったように顔を背け、その体を抱きしめている腕から逃れようと動き回る。 イーピンのそんな様子に苦笑しながら、逃げられないようにその腕にさらに力を込める。 そして一瞬の隙をついて、その赤い唇に自分のそれを軽く重ねれば、イーピンの動きがぴたりと止まった。 赤い頬が更に熱を帯び、顔がこれでもかというくらい真っ赤に染まる。

「ワォ、茹でタコみたい」

唇を離し、からかい混じりに言えば、瞳を潤ませながら睨んでくる。

「君もさ、いい加減慣れたら?」
「なっ、慣れるなんて……そんなの無理です!」

いつまで経っても変わらない初心な反応。 その反応さえも愛しく感じながら、先ほどのイーピンの言葉を脳裏で反芻する。




「雲雀さんは……本当に私のこと、好きなんですか……?」

ぽつりと小さく呟かれた言葉。 読んでいた本から視線を上げれば、そこには不安げに細められ、じっと見つめてくる瞳があった。

何故今更そんなことを聞くのか。 不思議に思い問えば、同級生からおかしいと言われたのだと悲しそうに言葉を漏らした。 10歳も離れているのに本気な訳がない。 遊ばれてるだけじゃないか。 そう、言われたのだと。

それを聞いたとき、その同級生に対し抑えようのないくらいの怒りが湧いた。 何も知らないくせに好き勝手言ってくれたものだと。 今すぐにでも咬み殺しに行きたいほどだ。 それと同時に目の前で瞳を揺らすイーピンに対しても、怒りとも呆れとも言える感情が湧いて。

半ば強引に抱き寄せてその首筋に咬み付く様に吸い付いた。




顔を朱に染めたまま腕の中で動かないイーピンをそのままソファに押し倒せば、大きな瞳が驚きに見開かれる。

「ねえ、イーピン」

唇が触れるかとどうかいうほど顔を近づけて、潤む漆黒の瞳を捕らえる。

抱きしめるのも
唇を重ねるのも
耳元で愛を囁くのも
触れたいと思うのも

他の誰でもなく、イーピンただ一人。

そんなことはとっくに理解していると思っていたが、どうやらそれは過信だったようだ。
だから―――


「しっかりと教えてあげるよ」


僕がどれだけ君を想っているか


囁いて、先ほどよりも深く唇を重ねた。



こんなにわかりやすいのに

(わからないというのなら、しっかりとわからせてあげよう)



END


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二胡様よりお題リク『ヒバピン』で『こんなにわかりやすいのに』でした。
大変遅くなってしまい申し訳ありません。
返品、苦情、修正は24時間受け付けております。
リクありがとうございました。
よろしければまた遊びに来てやってください。

こちらは二胡様のみお持ち帰り可です。

2009.03.01