敵わない恋敵





母はよく笑う人だと思う。 学生時代からバイトしていたというラーメン屋で働きながら女手一つで自分を育て苦労してるはずなのに、 自分の前ではいつも優しく微笑む。

太陽のような笑顔を見るたびに心が温かくなるように思える。 そんな母のことが大好きだ。

たまに家に来る母の幼馴染や兄代わりという人たちが言うには 自分は父にそっくりらしい。 黒髪や黒目は母譲りかと思っていたがどうやら違ったらしく、 同じ黒髪黒目でも色合い的には父譲りだと言われた。

以前母に拳法を教えて欲しいと言った時、たまたま周りにいたその人たちは苦笑いしながら やっぱり血は争えないねと言っていた。 それがどういう意味なのかはあえて訊かなかったけれど。



父のことはほとんど知らない。 物心ついた時には自分の側に父はいなかったから。 ただ、自分と同じ名前で、生きているということを知っているだけで。

一度だけ、たった一度だけだが父のことを聞いたことがある。 父はなぜ一緒にいないのか、と。 その瞬間、母の瞳が寂しそうに揺れたのを今でも覚えてる。 そっと自分をその細い腕で抱きしめ、ごめんね、と小さく囁いたのだ。 その肩は小さく震え、絞り出された声は、脆く、すぐにでも折れてしまいそうだった。 それ以来父のことを聞くことは無い。 聞きたいとも思わない。 母を泣かす相手は誰であっても許せないから。

だから父のことはほとんど知らない。 どんな人なのか。 どこにいるのか。 何をしているのか。 自分は何にも知らない。

そして―――
何故母と共にいないのか。
その理由も知らない。



でも知ってることもある。

母が父を想っていること
父が母を想っていること


二人が今も想いあっていること


それだけは知っている。




毎年、母の誕生日に送られてくる差出人不明のバースデーカード。 それを見るときの母の顔は本当に嬉しそうで、 たった一言しか書かれていないバースデーカードを母は全て大事に保管してある。

そして、それに必ず添えられて送られてくる一輪の青紫色の素朴な花。 その花の花言葉を知った時、自分では絶対に父には敵わないのだと顔さえ知らない父に嫉妬した。


送られてくる花の名は、紫苑。

花言葉は

『遠方にある人を思う』


そして



『君を忘れない』



どこにいるかもわからない父に敵わない自分に嫌気がさした。








END

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ふじこからのリク『母子ヒバピン』でした。
なんかいろいろとおかしなことになってますが許してやって…orz
自分の文才のなさを恨みたくなった(=А=;)
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リクありがとうございました♪

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2008.10.14