卑怯な貴方
「本当にいいんだね、イーピン」
「はい、これは私が決めたことですから」
「そっか、じゃあもう俺は何も言えないよ」
「沢田さん・・・ありがとうございます」
「いいんだよ。それじゃあ元気でね」
「皆さんもどうかお元気で」
一人、また一人と大切な人たちが私に背を向け歩いていく。
沢田さんも獄寺さんも山本さんも他のみんなも
そして私の初恋の人も
みんな私の近くからいなくなってしまう。
「・・・」
小さくなっていく彼の背中に視界が滲んでいくのを止めることは出来なかった。
日本に残ることを決めたのは私
殺し屋を辞めると決めたのも私
それが彼と違う道を進むことだと分かっていたのに
なのにどうしてこんなにも胸が苦しいの
「雲雀さんっ・・・」
無意識に彼の名を呼んだ声はとても小さかったはずなのに
その瞬間彼が私の方を向いた。
ほんの一瞬だったけど彼は確かに笑っていた。
今まで見たことも無いとても優しい笑顔で
「・・・っ」
涙が頬をつたう。
だけど私はそのことに気づかないほど彼の笑顔に惹きつけられていた。
どうしてそんな風に笑うんですか
もう逢えないかもしれない
私のことなんて忘れてしまうかもしれない
だから貴方への想いはもう諦めるつもりだったのに
なのにそんな笑顔を見せられたら
「酷いです、雲雀さん」
もう傍にいられないのに
貴方のこと諦めさせてくれないなんて
END