青く澄みきった空高く投げられたそれは、色とりどりの花弁を舞い散らせながら鮮やかな軌跡を描き、
まるで引き寄せられるかのようにすっぽりとイーピンの手に収まった。
「え…」
予想だにしていなかったことに戸惑い思わず漏れた呟きは、湧き上がる周りの歓声にかき消された。
共にある
幸福
「素敵な結婚式でしたね」
イーピンは顔を綻ばせながら、様々な花で作られているブーケを見つめる。
身につけているのはいつもの動きやすい私服ではなく、薄紅のチャイナをモチーフとしたドレス。
足元は滅多に履くことのない少し高めのヒールで、慣れないために自然と歩幅が小さくなる。
髪もドレスに合わせて緩く結い上げており、その中心にブーケの中の花が一輪飾られている。
「二人とも凄く幸せそうだったし」
純白の衣装に包まれた花嫁はとても美しく、降り注ぐ祝福の花弁の中を二人寄り添って微笑みあう姿はまるで一枚の絵のようだった。
大切な人たちに祝福されて永遠の愛を誓った二人は、本当に幸せそうで。
見ているこちらまで幸せな気分になれた。
「君も結婚式挙げたいの?」
「え?」
先ほどまで相槌を打つこともなく歩いていた雲雀が急に言葉を発したことに驚いて、
思わず見上げれば、己を見る漆黒の瞳と目が合った。
「僕にはよくわからないけど、女の子はそういうの好きなんでしょ?」
そう言いながらイーピンのブーケを握る手をちらりと見た雲雀に、イーピンはようやくその言葉の意味を理解した。
そして、にっこりと笑いながら首を横に振る。
「いいんです。恭弥さんが結婚式とか賑やかなこと嫌いなのは知ってますし」
イーピンの左手薬指を飾るシンプルなデザインの細いプラチナの指輪。
今はスーツの下に隠れているが雲雀の首にかかる細いチェーンの先にもサイズ違いの同じものがついている。
約二ヶ月前に雲雀から贈られたその指輪は、これから先の人生をずっと一緒にいると誓った証。
それからすぐに籍を入れ、今ではイーピンと雲雀は夫婦として共に過ごしている。
周囲は急なことに驚きながらも祝福してくれて、あまりの嬉しさに涙が零れたのは記憶に新しい。
だが、急なこともあり結婚式は挙げてないし、挙げる予定もない。
兄や姉代わりでもあるツナやハルは今からでも挙げてはどうかと言ってくれるが、それをイーピンは断っている。
確かに昔は結婚式に憧れていた。
お姫様のような純白のドレスを身に纏い、大好きな人たちに囲まれて、愛する人と永遠を誓う。
それはとても素敵なことに思えて、いつかは自分も…。
そう思ったことが何度もある。
しかし雲雀が群れることを嫌うのは今に始まったことでなく、雲雀に我慢してもらってまで結婚式を挙げたいと今のイーピンは思わない。
それよりももっと大切なことがあると知っているから。
「それに――」
「それに、何?」
言葉の続きを促す雲雀の腕にイーピンは己の腕を絡めて、そっと身を寄せる。
「こうして一緒にいてくれるだけで幸せですから」
たとえ結婚式を挙げていなくても、こうして二人でいられればそれだけで幸せで。
触れた場所から感じる温もりや、時折見せる柔らかな表情にどうしようもないくらい心が満たされる。
想いが通じ合っていると信じられる。
それだけで十分だと思えるから。
「だから、これからもずっと一緒にいてくださいね」
ほんのりと頬を朱に染めながら微笑むイーピンに、雲雀は返事代わりにキスを落とした。
END
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「一度は書いとけジューンブライド」ということで一応結婚をテーマに書いてみたんですが、明らかに脱線した…orz
相変わらず電波文で申し訳ないです(>m<)
何が書きたかったは自分でもよくわからない。
誰の結婚式かはあえて書いてません。
理由はいろいろありますが、皆さんの想像にお任せしますということで(笑)
2009.06.21