*子ヒノ弁*
「べんけい!」
勢いよくその腕の中に飛び込めば
弁慶は優しく頭を撫でてくれる
親父や母上とはどこか違う
優しいその手が大好きだった
「ただいま、ヒノエ」
「おかえり!」
俺に向けてくれる弁慶の笑顔はいつだって穏やかで
その笑顔を見るたびに心が温かくなる
ぎゅっと服の裾を握って
これが夢や幻じゃないことを確認するのは
もう一種の癖というヤツだ
「また少し大きくなりましたね」
「おう。すぐにべんけいよりでっかくなるからな」
「ふふっ、それは楽しみですね」
二人で笑いながら話す時間が
どんな時よりも楽しくて大好きで
こんな時間がずっと続けばいいのにと何度も願った
END