*那千*


柔らかな陽射しと優しく吹く風
鼻をくすぐる甘い花の香りに包まれた
二人だけの時間

とん、と隣に座る彼に寄りかかる

「何?」

気だるそうな瞳そのままで淡々とかけられた声
けれどその中に優しさがこもっている事を知っている
なんでもないよ、と答えれば
彼は何も言わず頭を撫で、髪を梳いてくれる
大きな手の感触に心が満たされて
そっと瞳を閉じる

「ねえ那岐」
「ん」
「幸せだね」
「……そうだね」

少しの間を持って返された答え
素直じゃないなとクスッと笑えば
頭を軽く小突かれる
そしてまたすぐに頭を撫でてくれて
本当に幸せだなぁと思う

「こんな日がずっと続けばいい」

彼の言葉に答える代わりに
彼の指に自分の指を絡めた




END